nakoの日記

俺の話を聞いてくれ

大人の階段のーぼるー/大学合格

 「大人の階段」と「大人エレベーター」って、どこか強い対比関係にありそう。階段とエレベーター。一段一段腕を振るように足を上げるのと、電力やら滑車やら、人類みんなの営みの果てに、ありがてーことにおんぶに抱っこで上下移動できる文明の力。

 

 https://nakorightnovelvirtual.hatenablog.jp/entry/2021/02/13/234213

 

  昨日、生きるとか死ぬとか苦しみとか救いとか、そういうありきたりな話を、脳みそからテキストに引っ張り出した。

 

 その原因は、昨日から見て今日、バレンタイン・デーという商業主義万歳なイベントと同時開催の、大学入試の合否発表があったから..................(3点リーダ症候群)。

  

 端的に言って、落ちると思っていた。自己採点をしてる最初も最初は、やったー評論文ワンミスーなんて喜んでいたんだけど、小説がボロボロだったり、超安直な誘導に乗れなかったことが発覚したり、掛け算ができなかったり。本番中、暖房のおかげで酸素濃度が低くなって、脳が全然働かない中聞き流したリスニングがボロボロのボロ雑巾だったり。結果共通テストで7割4分しか取れなくて、これは中々厳しいラインだった。

 

 さらに、受験してから発表まで1ヶ月もあったのも心が弱りに弱った原因だった。試験を終えて久しぶりに学校に出席して、自己採点シートを埋めている時に胸が締め付けられるような感覚がした。この感覚があとひと月続くのか、と思った瞬間、これまでに感じたことのない恐ろしすぎる孤独感が私を襲った。その孤独感を紛らわすようにひと月弱何もしなかった。

 

 落ちたらどうしよう。併願校に出願しなければ。その二次試験の科目も調整しないといけない。私の将来。未来。安寧はどこへ?

 

 結果、何にも出来ず、ふと登校の会話中に思いついて帰りに映画館に寄ることにした。見る題目は何も決めずに、ふらりと行ってみた。

 

 上演まで時間があって、でも暇の潰し方にバリエーションがなくて、映画館のフロントあたりでスマホと睨めっこして、飽きて、一蘭に行って、インターネットで噂になっていた「しあわせ〜〜〜!!」なる歓迎の挨拶を受けた。何が幸せだよ。静かに、揺れない海の中でチャルメラの音を聞いて麺を啜るのが我々の幸せではなかったのか。幸せとはなんだ。

 

 替玉まで食べ終わって、適当に「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」を観た。少佐のよくわからん主張で(もはや記憶にない)、これはダメだ、合わない、となって、中盤あたりからどうでも良くなっていた。でも京アニの努力はまじまじと感じられた。頑張れ。頑張れ。

 

 共通テスト前は1月頭からずっと休んでいて、クラスの人間関係のゴタゴタが無秩序の極みまで辿り着いているのを知らなくて、だからめんどくせー女絡みの案件に首を突っ込んでみて、併願の準備もしないで何をしてるんだ、俺へのリターンは何だ、時間の無駄ではないのか、などと思ったりした。

 

 結局それから何もする気が起きなくて、例年の夏休みみたいに過ごした。昨日は落ちる恐怖に押しつぶされかけ精神の不調を招いたが、地震で精神的恐怖が吹っ飛び、かつ眠気も消えて、合格発表の時間まで起きようとしていた。しかし発表の45分前に眠ってしまった。

 

 2時間ばかり闇に沈んで、うとうとと起きて。左手にスマホを持って、中々開かない顔面認証を突破して。前日のうちにホーム画面に貼っつけていたアイコンに触れて、浮かび上がったページで学部と入試方法を選んで。ぶわっと現れる番号の羅列を一瞥して、ささっとスクショして。カメラロールに追加されたその画像をお気に入りに加えて、以前に撮っていた受験番号の写真と比較する。

 

 一瞬で、一連の動作だった。寝起きで働かない脳みそだったからか、何にも考えずにただやるべきことをやった。落ちるとか受かるとか、幸せとか未来とか、生きるとか死ぬとか、この瞬間だけは永遠にどうでもよくなった。まるで生まれた時からこの動作をするのを仕組まれていたかのように。

 

 ディスプレイとタッチパネルと集積回路スティーブ・ジョブズ無線LANと有線の銅線。ポート番号80。いや443だった。2進数の世界が今日も忙しなく動いている。回っている。私の周りをぐるぐると。

 

 辿り着いた。

 

 累計17.9年間の人生でいちばん、1番超然的な存在でいられた瞬間だった。ニーチェ的な超人ではなく、私が規定する、超人。万物のしがらみから解放、あるいは開放された状態。これが自由か?

 

 胸の高鳴りはすぐにやってきた。ある。私に配られた、5桁の番号が。

 

 あの時———、一度目。今相対してる大学のはじめての受験。合格発表を同じようなWebページで見た瞬間。唯一、受験者の中で唯一私だけが奈落の底へ落っこちた瞬間。落ち着き払った血液が首を駆けて脳と心臓をえいえんにシャトルランしている冷えた音色。

 

 現実を疑って、その後授業中にも関わらずトイレに駆け込んで2、3回確認した。見間違いかもしれない。ほら、私は頭が悪いから。数字を見間違えたり、ページにミスがあったり。何かないか。何か。何か。

 

 https://nakorightnovelvirtual.hatenablog.jp/entry/2020/12/24/193231

 

   あぁ落ちている。よし、落ちた。次。共通テスト。回想終了。

 

 

 

 

 あの時とは違った。二度目。並んでいる番号は下2桁が連番ふうにはなっているが、ちょこちょこ抜けている。落ちている人間がいるのだ。あのときの私のように。けど、今回は?

 

 受かっている。受かっている。胸の高鳴りは月にタッチして帰ってきた軌道をグラフ化したように、上って、下がって、そうして地平線みたいな落ち着きをみせた。

 

 安堵。次に襲ってきた感情の名前。

 

 興奮じゃなかった。安堵。落ち着き。冷静。

 

当時のツイート

 

 

 報告。報告をしなければ。まず、この日を待っていた親に。真昼の12時に横になって眠っている、休日のこの人に。

 

 捜索。探さなければ。郵送で届いた、私の受験番号が書かれた、大学入試に限っては最後にして欲しい、私の主キー。現物の5桁。私のゴケタ。

 

 どこだ。あった。ファイルから取り出した封筒から1枚の紙を取り出す。ある。一見すると適当な数字。普段なら100000種あるうちの1つとしか思えない5桁の数字。

 

 今はこの数字の意味がわかる。Web上で見た連番モドキの数字たちによって。これが学部コードで、これが学科コードで、これが、連番で......。

 

 一枚のスクショから唯一無二の数字を探す。ある。やはり私の目にはあるように見える。本当に?勘違いではないか?

 

 他人の目だ。他人の目が欲しい。今は心の底から渇望している。見てくれ、この数字と数字を。あるだろ。あるよな。俺、受かってるよな。

 

 これ見て。完璧に綺麗な三つ折りの折り目を広げて拡げて、私の主キーを親に見せる。

 

 これも。あなたの金で買ってもらったiPhone11Proも。その画面。スクショを限界まで拡大して、私の5桁を見せる。

 

 

 

 

 

 他人に観測された。数字の一致。アラビア数字たちは私を指し示している。受かったのだ。

 

 それからは、知人に連絡した。全員もう進路先が決まっている人だった。最初に電話をかけたアイツは声を荒げて喜んでくれた。

 

 お世話になっております、私ですぅー。本日はちょっとご報告がありましてぇ......。まあ端的に言うと......。「春から同じ大学に行こう。」

 

 

 返事は。

 

 

 ええっ、マジかよ!?

 

 

 

 決まった。やったぞ。最高に気持ち悪いセリフ。たかが人生の、たかが大学受験。セブンティーンの終わり。安堵から溢れでたキモいセリフ。私史(わたし)キモ語録全集が出るなら表紙にデカデカと載せてやる。

 

 一度目に受けた入試で、私とは違ってきっちり受かったのがコイツだった。面接の帰りに一緒に麺も啜った。マックにも行った。結果は向こうが勝ち、そしてこちらの負け。

 

 それから、若干の話しかけづらさを彼に持っていた。私からは話しかけることができなかった。向こうも積極的には話しかけてこなかった。いや、今思えば、何も言ってくれなかったのは憐憫だとしても、その環境はむしろ生きやすかったかもしれない。でもたかが大学入試で友情が消え去るのも嫌だしさ。ああ、取り戻せた。

 

 じゃあ、春からよろしく。そんなありふれたハッシュタグみたいな言葉で電話を切った。

 

 あとは、親の奢りでマックを食べたり、中学時代のLINEグループに報告したり。受かった実感はもうなくて、たびたび数字を確認しては、本当に?と疑問符を浮かべたりしていた。2時間周期で。サイゼでエスカルゴを食したりした。エスカルゴのオーブン焼きおいしいよね。

 

 音楽を流した。歓喜の歌。いまはタイミングばっちりに喜べる。

 https://open.spotify.com/track/64GSD8fGGhOkz5F9XVd5Xx?si=O3o2YxDLTgW5aMHhCXrvdA

 

 あとは、深夜高速(フラワーカンパニーズ)。

 https://open.spotify.com/track/3fN6gHG7zhlrt15hnkVGFz?si=xLPGG81ITxGmlKRbWa8kBA

 

 当時のツイート

 

 

 Funny Bunny(covered  by evergreen nerd

 

 俺の夢が叶うのは誰かのおかげじゃないよな。今日くらい、「みなさんのおかげでした」、なんて使い古された言葉を胸に秘めて、「俺だ、俺なんだ、頑張ったのは。俺が合格したんだ」、って、独善的に孤独に馬鹿みたく誇っていいよな。

 

 

 

 

 

 

 一通り流したい曲を掛け終わって、知人への連絡も終わって。ああ、今日はいい日だ、なんて。

 

 これで終わり。1日の終わり。2時間しか寝ていない1日の。アドレナリンは今世紀最高に放出している。眠れそうにない。だけどおしまい。魔法は解けて、また1日が始まる。だから、この話はおしまい。

 

 最後まで読んでくださってありがとうございました!これからの私の活躍にご期待ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ただ、一点だけ、これは書かなくてはいけない。

 

 安堵だったのだ。合格した時の感情が。

 

 去年、じゃなくて一昨年の冬。情報処理技術者試験の合格発表。高2で受けた、応用情報技術者試験の合否。

 

 この時は、自己採点をして、なんとか受かっていると言えなくもないかもしれない、くらいの感触だった。その時の自分は今よりも遥かにポジティブで(ロ○ランドにハマっていたからかも)、だから仮に落ちているとしても虚勢をはろうとしていた。

 

 どうだった?って聞かれたら、0秒で「受かったよ」と返す。虚言でも言葉はエネルギーをもつ。そのエネルギーが偽物のジシンを支えてくれる。偽物は本物になる。本物のジシンを持てる。なんて思って、合格発表へのエンターキーを押した冬の放課後。よろしくお願いします。

 

 ギリギリもギリギリで受かっていた。とても他人に自慢できるような点数じゃない。けど、受かった。

 

 同じ試験を受けた友人も受かっていた。この時はお互いに合格だったんだな。

 

 その時の感情の名前は、間違いなく、興奮。

 

 床にぶっ倒れて、ひどくうるさい胸の鼓動を無視して、友人と近くの公園まで走った。情熱だ。情念だ。燃えていた、あの瞬間。

 

 

 

 じゃあなぜ今回は安堵だったんだ。興奮が第一に訪れなかったのは何故か。これはずっとずっと考えなければならない、私の命題だ。登らなければならない階段。エレベーターじゃたどり着けないその場所。

 

 ああ、明日からは、もっと考えるべきことが増える。頑張ろう。頑張れ。